Wi-Fiってなんで遅くなるの? Wi-Fiの接続の仕組みを解説

Wi-Fi

普段何気なくスマホやPCで利用しているWi-Fi、このWi-Fiが接続される仕組みはどうなっているのか、何故速度が遅くなったりすることがあるのか、またWi-Fiを使う上で意識しておくべきことはないのだろうか?

この記事では、Wi-Fiの名前の由来、接続するための仕組み、今後どのように発展していくのかなど分かりやすく解説をしています。

どんなときもWiFi(芸能人有)
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Wi-Fiは世界標準の規格であり、世界中で利用できる

Wi-Fiとは、日本では無線LANとも呼ばれていますが、今やスマホ、タブレット、パソコン、ポータブルゲーム等の身近なものに搭載され、世界中で普及している通信技術です。Wi-Fiの略は諸説ありますが、“Wireless Fidelityの略が有力であると考えられています。

Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceと呼ばれる業界団体が認証した無線LANの規格ですが、このベースとなる技術は国際標準化団体であるIEEE(アイトリプルイー)が標準化を行い、業界団体であるWi-Fi Allianceが相互接続認証を行っています。Wi-Fi Allianceによる相互接続認証があるため、世界中どこでもWi-Fiを利用することが可能となっています。

Wi-Fiは電波免許が不要な周波数を利用している

Wi-Fi接続には電波が利用され、その周波数は2.4GHzと5GHzです。周波数というのは、例えばラジオではTBSラジオ=954KHz、文化放送=1134KHzというように周波数が決められており、受信者はその番組に利用されている周波数にチューナーを合わせることで受信が可能となります。Wi-Fiでも同様に周波数が固定されており、世界共通で2.4GHzと5GHzが利用されています。

周波数は免許を必要とする周波数(ライセンスバンド)と免許を必要としない周波数(アンライセンスバンド)があり、例えば携帯電話で使われている周波数は免許が必要なライセンスバンドであり、Wi-Fiで利用されている周波数は免許が不要なアンライセンスバンドとなります。ただし、免許が不要であるからといって勝手にWi-Fi機器を日本で使うことができるかというとそうではありません。日本で利用するためには総務省が規定した技術基準適合証明(技適)の認証を受ける必要があり、認証を受けた機器には以下のマークが記載されています。

技適マーク

一つの周波数帯を複数用途で利用することで通信速度が遅くなる

以下は日本における960MHz~3.4GHzまでの周波数帯の割り当て表です。
2.4GHz帯を見ると無線LAN以外にアマチュア無線と産業科学医療用(ISM)というものが割り当てられています。ISMとは通信以外のもの例えば医療、化学、工業などであり電子レンジなどがこれにあたります。また、一覧表を見ると省電力データ通信システムという記載がありますが、これはWi-Fiをはじめ、Bluetooth、RFID、ワイヤレスマイクなどがそれにあたります。

出典:総務省資料
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このように2.4GH帯はWi-Fi以外にも電子レンジやBluetoothなど様々な機器で利用されているため、電波の干渉が発生します。電波が干渉するとデータ通信の速度(スループット)が遅くなります。従って、Wi-Fiを利用する際には、自分以外のWi-Fi機器、電子レンジなどが利用していないWi-Fiの電波(チャンネル)を利用することで速度低下を回避することができます。家庭内で利用するWi-Fiアクセスポイントはチャンネル設定を行うことが可能なので、Wi-Fiの通信速度が遅くなったと感じたら周辺で利用されているWi-Fiと干渉している可能性があるのでチャンネル設定を変更することで回避することが可能かもしれません。

以下は3.4GHz~10GHzの周波数一覧です。

出典:総務省資料
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5GHz帯もWi-Fi以外に気象レーダーや各種レーダーが利用していますが、2.4GHz帯と比較して利用しているデバイスが少ない為、5GHz帯の方が電波の干渉が小さくデータ通信速度への影響が小さいといえます。

5GHz帯の周波数を利用するにあたっては注意点があり、周波数帯によって屋内限定か屋内・屋外共可能ということが規定されていることを認識しておく必要があります。以下の図で5150~5350MHzの周波数は屋内限定であり、5470~5725MHzの周波数は屋外でも利用可能です。しかしながら、スマートフォン等の普及により急増しているトラヒックを迂回するオフロード手段や商業、観光、公共等の施設においてWi-Fiの利用が推進されており、2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会等を見据えてWi-Fiをつながりやすくするために、新たに5.2GHz帯(5150~5250MHz)も屋外で利用できるように電波法が改定される見込みです。

5GHz帯を利用する際に注意すべきこととして、2.4GHzよりも電波が飛ばないということがあげられます。周波数は高ければ高いほど電波の直進性が強く、障害物を避けることが難しくなります。したがって、Wi-Fiアクセスポイントが目視できる場所にあるのであれば問題ないのですが、宅内でWi-Fiアクセスポイントをリビングにおき、Wi-Fiデバイスを寝室で利用するというケースでは場合によっては速度が低下してしまうことがあります。

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Wi-Fiの種類と特徴

Wi-Fiは無線LAN技術の国際標準化団体IEEEが規定しているIEEE802.11規格を利用しています。Wi-Fi AllianceはこのIEEE802.11規格でIEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11a、IEEE802.11n、 IEEE802.11ac、IEEE802.11axという名称を世代ごとにつけていましたが、よりユーザに分かりやすい名称にするために2019年に以下のようにWi-Fiの名称を変更しています。

  • 802.11n → Wi-Fi 4
  • 802.11ac → Wi-Fi 5
  • 802.11ax → Wi-Fi 6

Wi-Fiの各規格の特徴は以下のとおりです。

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Wi-Fiは、これまでは速度向上を第一優先として進化してきており、今では理論値では相当なスピードが出るようになっていますが、一方で一つのアクセスポイントにユーザーが増えたり、他の電波による干渉などをうけると通信品質が悪化していました。

最新の規格Wi-Fi6では、この通信品質がより安定するような技術も組み込まれています。

Wi-Fiネットワークを識別するSSID マーケティングにも利用

Wi-Fi接続に欠かせないものがSSIDです。SSIDはService Set Identifierの略であり、全てのWi-Fiネットワークにユニークにつけられています。

以下の図を見てください。これはとある場所でのWi-Fiの電波をとらえているのですが、この場所ではこのグラフの色の数だけWi-Fiの電波が飛んでいます。Wi-Fiはアンライセンスバンドを利用しており導入が容易であることから、このように一か所で複数のWi-Fiの電波が飛んでいることが多いのですが、このような場合に自分がどのWi-Fiネットワークに接続するか区別するためにSSIDが利用されています。

ある地点のWi-Fiモニター

SSIDは英数字で最大32文字まで設定することが可能であり、最近ではWi-Fiネットワークをわかりやすく識別できるようにSSIDに「Shinkansen_Free_Wi-Fi」や「Fujisan_Wi-Fi」などの場所や「at_STARBUCKS_Wi2「や「PRONTO FREE Wi-Fi」などの店の名前を入れたりし、マーケティングにも利用されています。

SSIDはWi-Fiネットワークを識別するものですが、一つのWi-Fiアクセスポイントで複数のSSIDを利用することも可能です。これにより、物理的には一つのWi-Fiアクセスポイントを複数の事業者が共有することができ、Wi-Fi設備を持たない事業者がWi-Fi設備を借用してWi-Fiサービスを行うことが可能です。また、SSIDを複数設定し、それぞれのセキュリティを変更するためにも利用されています。例えば、最近はWi-Fiを利用することが可能となっている学校が増えてきていますが、生徒が利用するSSIDはアクセス先のサイトを制限する設定とし、教師や管理者がアクセスするSSIDと分けています。

Wi-Fiアクセスに欠かせないセキュリティ・認証

Wi-Fiのアクセスに利用されるセキュリティ認証の種類はいくつかあります。

一つは、家庭内でよく利用されているようにSSIDとパスワードを入力してアクセスする方法です。これはWi-Fiアクセスポイントと端末間で認証を行っています。

もう一つは、端末とWi-Fiネットワークの先にある認証サーバで接続する方法です。こちらの方法はカフェ、駅の構内等、複数多数のユーザがアクセスするような環境で用いることが多くなっています。この認証サーバを利用する方法にも手法がいくつかあり、ユーザ名とパスワードを入力する方法もありますが、Eメールアドレスを利用する認証やFacebook、Twitter、Google等のSNSと連携した認証方法が増えてきています。

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Eメールアドレスを利用する方法では、ユーザがアクセスポイントのSSIDを選択してアクセスするとEメールアドレスを入力する画面が表示されるので、そこにEメールアドレスを入力します。その後、URLが記載されたEメールが送付されるため、そのURLにアクセスして認証が完了します。この方法では、Eメールアドレスがユーザ特定の情報として利用されています。

SNSを利用する方法では、Eメールアドレスで利用する方法と同様にアクセスポイントに接続するとFacebook、TwitterなどのSNSを選択する画面が表示されます。ユーザがSNSを選択すると、そのSNSの認証画面に接続され、ユーザがそのSNSにログインをすることでWi-Fiの利用が可能となります。この方法では、SNSのアカウントがユーザ特定の情報として利用されています。

最近日本国内でも公衆Wi-Fiが増えてきていますが、Wi-Fiへの接続を簡素化するために認証を全く行わず誰でも接続可能なWi-Fiも増えてきています。このようなWi-Fiの場合、悪意を持ったユーザも簡単に接続可能となるため、ウィルス感染等にも十分な注意が必要です。

世界で利用可能な必要不可欠な通信手段

Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceによって相互接続認証が行われている為、世界各国で利用することが可能です。また、電波免許が不要なアンライセンスバンドを利用していることにより、比較的容易に導入することも可能です。更に、今年はWi-Fi 6が標準化され、これまで以上に高速かつ安定的な通信が可能になる見込みです。

このような特徴を持ったWi-Fiは、今や世界のあらゆるところで利用可能であり、またWi-Fiを搭載した機器も次々と増えています。現在、様々な無線通信手段がありますが、その中でもWi-Fiについては今後もこれまで以上に利用可能なエリアが拡張し、その勢いは止まらないでしょう

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