海外の5G事情 – 世界で初めて5Gのスマホを発売した韓国の事例 –

5G

スポンサーリンク

海外の5G事情 – 世界で初めて5Gのスマホを発売した韓国の事例 –

日本ではまだサービスが開始されていない5Gですが、世界では多数の国で5Gのサービスが開始されています。既に5Gサービスを開始している韓国は世界に先駆けて5Gのスマホを発売しており、積極的に5Gを展開しています。

本記事では、その韓国の5Gサービスの状況や料金体系などの事例を紹介します。

韓国は世界で初めて5Gスマホを展開

韓国といえば、これまでもブロードバンド、3G、4Gなど、通信関連で常に世界をけん引してきています。5Gも同様で、2018年10月にベライゾンが世界で初めて5Gサービスを開始しましたが、韓国の通信事業者もその後を追い、2018年12月には同様に5Gサービスを開始しています。

2018年は米国、韓国、ヨーロッパで5Gが開始されましたが、これらはいずれもデータ通信用のネットワーク、すなわちWi-Fiルータや固定ブロードバンド回線の代用といった使われ方であり、既存のスマホ端末ではまだ5Gに対応できていませんでした。そして2019年、5Gスマホの提供を世界で初め実現したのが韓国の通信事業者3社、SKテレコム、KT、LG UPlusです。

世界初の5Gスマホに関しては、米国の通信事業者と韓国の通信事業者の間でせめぎ合いがあり、当初は米国が世界で初めて5Gスマホを提供することが想定されていました。しかしながら、韓国は米国のベライゾンがサービスを開始する直前に急遽サービス開始日時を前倒し、韓国現地時間の2019年4月3日の午後11時にスマホサービスを開始して『世界初』の称号を手に入れています。

参考:世界の5G事情 ~米国~

韓国は平昌オリンピックでも5Gトライアルを行っていた

5Gの商用化に向けて、韓国の通信事業者は早くから準備に取り掛かっていました。5Gは高速・大容量、超低遅延、多数端末接続という特徴があり、これらの特徴を活かしたデモやPoCなどのショーケースは世界各国で行われていますが、韓国でも同じように2018年2月9日から2月25日まで韓国の平昌で行われた平昌冬季オリンピックにおいて5Gを利用したトライアルを行いました。

オリンピックの公式スポンサーである韓国の通信事業者KTは、開会式の会場において5Gの低遅延落ちう特徴を活かし、音楽に合わせてLED照明を5G経由でコントロールすることを実現しています。また、フィギュアスケートの会場では100個のカメラを配置し、手元のタブレットでリアルタイムに選手の映像を見ながら、ジャンプなどのシーンを止めて視聴者の好みに合わせて様々な角度から映像を見ることができるサービスも提供しました。

アイスホッケーでは、5G搭載のVRにて360度の視野でゲームをリアルタイムに楽しめるサービスを提供しており、ボブスレー会場では、107個のカメラを使って実際にボブスレーに乗っている感覚を味わうことができるサービスも提供しました。

5Gスマホサービス開始時点で34,000の基地局を展開

2019年4月に韓国は世界で初めて5Gスマホサービスを開始しましたが、すごいのは世界初のスマホサービスだけではなく、韓国の最大手通信事業者であるSKテレコムは、このスマホサービスを開始した時点ですでに34,000局もの5G基地局を展開していたということです。

韓国では5Gに3.5GHzという周波数が利用されており、この周波数はこれまでの4Gと比較しても高い周波数となります。周波数は高くなるほど直進性が強く、障害物があると電波が届きにくくなる性質があるので、3.5GHzを利用した5Gでは4Gよりも多くの基地局を準備する必要があります。

そのような状況の中、韓国のSKテレコムは34,000局もの基地局を整備しサービス開始と合わせて5Gエリアを作っていることは本当にすごいことです。米国をはじめ諸外国でも5Gサービスは始まっていますが、特定の都市限定である場合が多く、ここまでしっかりとしたエリアを整えているのは韓国だけではないでしょうか。(まだサービスが開始されていない中国ではさらに多くの基地局建設が終わっているようではあります)

ただ、まだ5Gのカバーエリアは都市部のみで郊外のカバーは年末になる予定で、全国カバーが完了するまでには2-3年かかる見込みです。

5Gスマホは同じ韓国のサムスン社が提供するGALAXY S10 5G

韓国の通信事業者が採用したスマホ端末は、サムスン社のGALAXY S10 5G。韓国国内の会社であることもあり、数年前から通信事業者とサムスンは5Gの協議を始めており、昨年の平昌オリンピックのトライアルもサムスンのタブレットが使われています。

GALAXY S10 5Gは、クアルコムのチップセットSnapdragon 855、画面サイズ6.7インチ、オクタコア、8GBメモリー内蔵のスマホです。5Gとは関係ないけど、今年標準化が終わるWi-Fi6(802.11ax)にも対応しているようなので、これもさすがサムスンという感じです。

2019年5月には同じ韓国のメーカLGも5G対応のスマホ「V50 ThinQ」を発売しています。

韓国は世界的なスマホメーカがあるため、5Gなどの新しいサービスが普及しやすい環境ですね。

サービス開始2か月で5Gユーザ100万人突破

韓国の通信事業者3社が2019年4月に5Gを開始ししましたが、その2か月後の6月には100万加入者を突破しました。これは韓国の国民が5Gへの関心が高いということも一つの理由ではありますが、それ以外に通信事業者がインセンティブを投入して積極的に5Gを売り込んでいることが大きな要因です。

5Gは周波数の関係からエリアの構築は大変ですが、周波数の利用効率は良いので通信事業者としては極力5Gへ加入者を移行させていきたいのでしょう。

5Gの通信速度は今後改善が必要

5Gの大きな特徴の一つは、超高速通信です。韓国の5Gではどの程度のスピードが出ているのでしょうか?

ピークレートと呼ばれる最速で998Mbpsで、平均で約100Mbpsという報告があります。通信速度は環境に大きく依存するため、この速度が実際の環境に近いものなのかよくわかりません。実際、SKテレコムはサービス開始前からサムスンと検証を行っており、この事前検証では2.7Gbpsの通信速度が出たようです。今後、端末やインフラの性能向上と最適化により通信速度はどんどん早くなっていくでしょう。

5Gではデータ通信無制限が標準!?

4Gでは通信インフラのキャパシティの観点からデータ通信量に制限を設ける傾向にあり、日本でも7GBをベースに様々なデータ通信量の制限が設定されています。5Gではより高速になるため、これまで以上に短期間で大きなデータのダウンロードやアップロードが可能となりますが、この時の料金体系はどのようになっているのでしょうか?

2019年6月時点で、SKテレコムは以下の5G料金プランを提供しています。

2019年限定ではありますが、データ通信無制限プランを提供しています。既に5Gサービスを展開している他国においても無制限プランを提供していることから、5Gではデータ通信無制限プランが標準となり、おそらく2020年以降も無制限プランを継続するのではないでしょうか。

常に世界をリードする韓国

韓国は世界で初めて5Gスマホを発売し、それに合わせるかのように基地局の展開も急ピッチで進んでいます。今はまだ超高速サービスを楽しむという4Gの延長でしかありませんが、今後エリア展開が進むにつれて、超低遅延サービスやIoT関連のサービスなど、これまでとは違ったサービスが世界に先駆けて始まる可能性があり、今後も韓国の動向は見逃せないですね。