2020年3月にドコモ、au、ソフトバンクが5Gサービスを開始しました。サービス開始当初は5Gを利用できるエリアや対応するスマホ端末は限定的でしたが、4か月か経過した現在、エリアや対応端末はどのようになっているのでしょうか?
この記事では、2020年7月末時点のドコモ、au、ソフトバンクの5Gの料金プラン、サービス提供エリア、5G対応スマホ端末について解説しています。
3社の5Gの料金プラン比較
ドコモ、au、ソフトバンクは2020年3月から以下の料金プランで5Gサービスを提供しています。5Gの料金プランの大きな特徴は「データ通信無制限」です。ソフトバンクのプランでは最大のデータ利用量が50GBですが、auはいち早くデータ通信無制限を提供開始し、ドコモも通常は100GBまでというデータ通信量に利用制限がある「5Gギガホ」プランをキャンペーンにてデータ利用無制限にしています。
5Gでは超高速通信が実現され、それに伴いデータ通信量がかなり大きくなる為、海外でもデータ通信量を無制限やデータ容量の大きいプランを提供する通信事業者が多くなっています。
まだ使える場所が限られてしまう5Gのエリア
各社とも大幅に前倒した基地局展開計画
ドコモ、au、ソフトバンクは、5Gの免許を取得した当初は比較的ゆっくりと基地局を展開していく計画でした。ところが、5Gは想定以上に各産業からの期待値が高く、海外でも積極的なエリア展開が進められていることもあり、3社とも当初の計画を大幅に前倒す計画に変更しています。
当初は3社とも2021年3月の時点で全国の都道府県において最低1カ所でサービスを提供する程度となっていましたが、現在は各社とも全国約10,000局の5Gを建設する計画になっています。以下は3社の当初の基地局計画と現在の計画の比較ですが、各社とも約1年前倒しで基地局建設を進める計画に変更しています。
5Gは高い周波数を利用しており、これまで各社が利用してきた700-900MHzや2GHz帯の帯域と比較して電波が飛ぶ距離が短くなる為、10,000局では全国をカバーするためには全然足りない局数ですが、それでも10,000局の基地局があれば人口が集中するエリアの多くが5Gのエリア圏内になることが想定されます。

まだまだホットスポット的なエリアが目立つ5G
それでは、2020年7月末現在でドコモ、au、ソフトバンクの5Gエリアがどのようになっているかを見てみましょう。
まず、ドコモですが、ドコモは5Gに対応している施設やスポットは以下のサイトで公開していますが、それ以外のエリアについては公開されていません。
どのような施設が5Gのエリアとなっているのでしょうか?
このサイトにおいて、例えば「関東・甲信越」地方を選択してみると、5Gのエリアとなっている施設の大部分がドコモショップになっていることがわかります。公共エリアでは、渋谷駅、池袋駅、五反田駅、秋葉原駅、成田国際空港、羽田国際空港がエリアとなってはいますが、各駅や空港の中においてどの程度がエリアが広がっているのか明記されていません。マップを表示していない時点で、恐らくエリアとしてはまだまだ限定的なのでしょう。
一方、auとソフトバンクは5Gのエリアをマップ上に表示しています。
auは以下のサイトで5Gのエリア情報を提供しています。
以下は東京都内の5Gエリアのマップであり、赤く記された場所が5Gエリアとなりますが、auもドコモ同様にまだまだエリアが限定的であることがわかります。ほとんどの5Gエリアにおいてホットスポット的なエリアとなっており、まだまだ面的な広がりがありません。
一方、福岡県の天神周辺においては以下のとおり5Gのエリアが面的に広がっていることがわかります。地図の黄色で記された箇所は2020年夏以降に5Gエリアとなる予定のエリアであるため、このエリアにおいてはかなり広い面で5Gの利用ができるようになります。地域によってはこのようにある程度のエリアを構築できている箇所もあるようです。
ソフトバンクもau同様に5Gのエリアをマップ情報として提供しています。

東京都内の状況をみると、ドコモやauとは少し異なり、東京タワー、豊洲周辺、東京タワーなど観光スポットを中心にある程度面的なエリアが広がっています。
以下は愛知県の名古屋駅周辺の状況ですが、こちらもかなり面的な広がりがあるように見えます。
基地局の設置はかなり時間を要することもありドコモ,au、ソフトバンク3社ともまだまだ5Gのエリアとしては限定的となっていますが、それでも場所によっては面的な広がりを見せているところもあり、今後2021年3月末に向けてこのようなエリアが次々に出てくることが期待されます。

5G 3社の5G対応スマホの状況は?
ドコモ、au、ソフトバンクの3社の5G対応スマホはどのくらいあるのでしょうか?
ドコモは、2020年7月末時点で6機種の5G対応スマホを発売しています。ラインナップを見ると、これまで4Gで採用してきたサムスン、シャープ、ソニー、LG、富士通の4社から提供されています。また、スマホ以外に最大通信速度4.1Gbpsに対応したWi-Fiルータも提供しています。
auは3社の中で一番多くの端末を提供しており、以下のとおり9機種の5G対応スマホと1機種のWi-Fiルータが発売されています。auのラインナップを見ると、ドコモ同様にサムスン、シャープなど従来の端末メーカーから提供されているスマホもありますが、それ以外に新たにOppoやZTEといった中国の端末メーカーからの端末も提供されています。
ソフトバンクからは以下の4機種のスマホが発売されていますが、ドコモやauのようにWi-Fiルータはまだ提供されていません。
5Gはまだまだ使えるエリアがかなり限定的である中で、ドコモ、au、ソフトバンクは5Gのラインナップを揃えており、各社の5Gへの力の入れ具体が伺えます。また、OppoやZTEな中国の端末メーカーによるミドルレンジの5G端末も徐々に出始めており、今後各社とも5G加入者を大きく伸ばすためにより多くのミドルレンジやエントリーモデルのスマホが提供されることが想定されます。
2021年春に向けて各社とも前進
ドコモ、au、ソフトバンクの5Gエリアはまだまだ限定的ですが、それでも2021年3月に向けて5Gのエリア展開や5G対応スマホにはかなり力を入れていることが伺えます。
ドコモは、7月の初旬では5G加入者数が約17万件に留まっていますが、それでも2020年12月までに5G加入者を250万件まで増やすことを計画しています。また、それに合わせて2020年後半から5Gスマホへの移行を促すためにエントリーモデルのスマホを導入していく計画も発表されています。
auもコロナの影響によりスマホの販売台数が伸びていない状況ですが、2021年3月末までに5G加入者を200万超とする計画を維持しています。 現時点では5Gはエリアがかなり限られておりますが、このように5Gに対して各社とも力を入れ続けており、かつ東京オリンピックが2021年に延期となったことで5Gが益々重要となっていくことから、今後一気にエリアが広がり、対応端末が増えていくことが期待されます。