Bluetoothとは?イヤホンやマウス購入前に特徴を理解しよう

Bluetooth

最近、ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスマウス、ワイヤレスキーボードなど無線を利用した機器が増えてきました。これらのワイヤレスを実現する無線技術にはいくつかありますが、その中でも利用頻度が高い無線技術がBluetoothです。また、最近では政府が提供を開始した「新型コロナウィルス接触確認アプリ」でもBluetoothが用いられるなど、これまでとは異なる用途でも広がりを見せています。

この記事では、Bluetoothの名前の由来やその特徴(なぜ電池の持ちがいいのか?)、Bluetooth製品を購入する際にどのようなことに注意すべきか、そして今後Bluetoothがどのように利用されていくのかについてわかりやすく纏めています。

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Bluetoothは青歯!?

日本では2020年4月7日に緊急事態宣言が発令され、そこから約2か月後の5月25日までの間、不要不急の外出は自粛となりました。

この期間、多くの企業においてこれまでオフィスにて行っていた業務をテレワークによる在宅勤務へと移行しています。緊急事態宣言が解除された現在では、オフィスへ出社するサラリーマンも多々いますが、一方で緊急事態宣言解除後もテレワークを継続している企業も多数あります。

「新しい生活様式」にも明記されていますが、今後は今回のような事態に備え、テレワークを中心とした働き方へシフトしていくことが想定されています。

テレワークでは、これを実行するための環境整備が必要となります。特に一番重要であるのはネットワーク環境であり、在宅勤務においては全ての会議をネットワーク経由で行うことになります。このリモート会議の際に必要となるツールがヘッドセットやマイク付きイヤホンであり、最近ではワイヤレスによるヘッドセットやマイク付きイヤホンの人気が出てきており、中でもBluetooth対応の機器が多くなっています。

Bluetoothは、1994年にスウェーデンのエリクソン社によって開発された近距離無線通信規格であり、1998年に設立されたBluetooth Special Interest Group(Bluetooth SIG)にて標準化が行われています。この標準化団体のメンバーには、エリクソンをはじめIBM、インテル、ノキア、東芝、マイクロソフト、レノボ、アップルなどが連ねています。Bluetoothは現在かなり身近なテクノロジーであり、その為、Bluetooth SIGのメンバーとなる会社が世界で35,000社を超えており、まだ増え続けています。

出典:Bluetooth SIG Market Update

Bluetoothという名称は、デンマークノルウェーの統一王であったハーラル1世の歯が由来です。ハーラル1世は、デンマークとノルウェーを平和的に統一した実績があり、その実績にちなんで歯が青白かった彼のあだ名であるBluetoothという名称が採用されています

Bluetoothは、世の中に出てきた当初は親機と子機とで通信を行う前に必要となるペアリングという作業が非常に面倒で、かなり使いづらいものでしたが、最近ではペアリングも自動で行われ、スマホ用のイヤホンやパソコンのキーボード、マウスなど身近なところでかなり利用されるようになりました。

以下は年間のBluetoothデバイスの出荷台数ですが、2019年の実績で42億個のデバイスが出荷されており、2024年までにさらに約1.5倍まで増え続けるとされています

出典:Bluetooth SIG Market Update

Bluetoothには2つの規格がある

BluetoothにはBluetooth Basic Rate(BR)/Enhanced Data Rate(EDR)と呼ばれるものと、Bluetooth Low Energy(LE)と呼ばれるものの2種類があります前者はBluetooth Classicと呼ばれており、元々はこのClassicしかなかったのですが、BluetoothのバージョンがBluetooth4.0の時に低消費電力モードとして新たにBluetooth LEが追加になり、以降はClassicとLEが共存する形になっています。ただし、ClassicとLEの互換性は全くなく、独立していますので、両方の機能を同時に利用することも可能です。

以下はBR/EDRとLEの比較です。

利用する周波数はいずれもWi-Fi同様にIMSバンド呼ばれる2.4GHzですが、利用するチャンネルがBR/EDRでは79チャンネルであるのに対し、LEは40チャンネルとなっています。また、LEは低消費電力用として開発されている為、出力電力が小さく、通信速度も低く抑えられているところが特長となります。

消費電力に関しては、データ通信速度と通信距離に大きく依存しますが、ClassicもNEも通信速度が2-3Mbpsとかなり抑えられており、かつBluetoothは近距離で利用することを前提としている為に出力を抑えることができ、その結果Wi-Fiと比較して消費電力が抑えられています

Bluetoothを利用する際にはお互いの機器で同じ規格に対応している必要があります。各機器がどの規格に対応しているか、以下のロゴでわかるようになっています。2020年6月現在最新であるBluetooth5以降であればClassicとLEの両方に対応しています。

以下のとおり最近の機器ではほとんどがClassicとLEの両方に対応していますが、今後の展望としてはIoTでの利用が見込まれることもあり、LEの割合が大きく増えてくると想定されています。

出典:Bluetooth SIG Market Update
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Bluetoothではプロファイルが重要

Bluetoothに対応した機器同士が通信を行う為には、双方の機器で同じ機能に対応している必要があります。Bluetoothは、音楽ストリーミング、データ転送、スマホンの通話制御など様々な機能を持っていますが、これらの機能は「プロファイル」という形で定義されており、各機能を利用するためには双方の機器がそれぞれ利用する「プロファイル」に対応している必要があります

プロファイルは多数あり、Bluetooth SIGでは以下のように定義されています。

例えば、音楽をBluetoothイヤホンで聞きたいという場合には、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)というプロファイルに対応する必要があります。その他のプロファイルで利用頻度が高いものは以下のとおりです。

AVRCP:A/V Remote Control Profile
音楽の再生、停止などの操作を行う為のプロファイル

HSP:Headset Profile
ヘッドセット(マイク利用)を利用するためのプロファイル

HEP:Hands-Free Profile
スマホや携帯電話の発信・着信、ハンズフリーを利用するためのプロファイル

Bluetoothの用途

Bluetoothは身近ではイヤホンマイクやワイヤレスマウスなどで利用されていますが、それ以外でも様々なところで利用されています。Bluetooth SIGでは大きく4つの用途に分けて利用状況や今後の展望について分析をしています

Bluetoothの用途として、「音楽ストリーミング」「データ転送」「位置情報サービス」「デバイスネットワーク」の4つに大きく分けて考えることができます

上記グラフを見ても明らかなとおり、Bluetoothの用途で圧倒的に多いのは音楽ストリーミングです。2019年の実績でも11億個の音楽ストリーミング用のデバイスが出荷され、その勢いはまだまだ続きそうです。特にテレワークが注目され始めた昨今ではリモート会議などでの用途もあり、更に普及しそうな勢いです。

続いて多いのがデータ転送です。Bluetoothは最大3Mbpsと速度こそ遅いのですが、データ転送に用いられるケースが増えてきています。例えばスマートウォッチとスマホ間のデータ転送や医療機器で測定したデータをスマートフォンやパソコンに転送するなどの使い方が増えてきています。この領域に関しても音楽ストリーミング同様に頻繁に使われており、今後さらに増えていくことが想定されています。

最近注目されているユースケースの一つとなっている位置情報サービスにおいてもBluetoothが利用し始められています。主な利用として、Bluetoothタグを持ち物に着けて置忘れや落とし物を防ぐ使い方や、製品搬送時の位置情報トラックなどが挙げられます。この分野はBluetooth以外にもLPWAと呼ばれるIOT系の無線技術などでも注目されており、現時点ではまだ数は少ないものの、今後急速に伸びていくことが想定されます。

そして最後にデバイスネットワークですが、ここではBluetoothのメッシュ接続機能を用いたユースケースが注目されています。例えば、家電にBluetoothを実装しスイッチ・電源を一元管理することでスマートホームを実現したり、複数のセンサーに利用することで工場などの監視を低コストで実現するなどのユースケースが考えられています。

かなり身近な存在になったBluetoothですが、今後は更に用途が広がりWi-Fi同様に生活で必要不可欠な通信技術になりそうです