世界、日本の5G普及状況と5Gのユースケース

5G

今注目の5G、日本は世界からかなり遅れて今年の3月にようやくさービスを開始しましたが、世界ではどの程度普及しているのでしょうか。また、5Gならではの新しいサービスやユースケースは生まれているのでしょうか?

この記事では、2020年6月時点での世界の5G普及状況と既に提供されている5Gならではのユースケースについて解説しています。

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日本の5Gサービスの状況

2020年3月に日本でも5Gサービスが開始されました。5Gの大きな特徴の一つは大容量高速通信ですが、この特徴に合わせる形で通信事業者各社は毎月のデータ利用可能量を大幅に増やしています。中でもドコモとauに関しては、データ利用を無制限で提供するなど、これまでの4Gとの違いを明確にしています

各社の5G料金プラ比較(画像クリックで拡大)

5Gでは、最大通信速度20Gbpsを目標値として標準化が進められていますが、これは4Gの10倍にあたります。通信速度が速くなるとういことは、それだけ短時間にたくさんのデータ通信が可能となるので、4Gと同じ時間スマホを利用した場合、データ消費量は大きくなります。従って、5G対応スマホを利用する際には、データ消費量を考慮した料金プランに加入することに注意が必要です。

日本では、5Gサービスが開始されてまだ2か月弱経過していますが、まだまだ5G利用できるエリアが狭い為、それほど普及していません。ドコモの報告によると4月末時点でもまだ4万加入者前後であり、普及にはもう少し時間がかかりそうです。それでもドコモは2020年度末までに5G加入者を250万にする目標値を掲げていますので、今後エリアの拡張と共に一気に加入者を増やしていく予定なのでしょう。

各社の今後の基地局展開予定は以下のとおりです。ドコモは1年後には基地局が1万局に達する見込みであり、ここまでくるとそれなりに使えるようになってきます。参考までに、ドコモは4G LTEでは20万局以上の基地局を展開して現在の品質を確保していますので、4Gと同じ品質に至るまでにはもう少し時間を要するでしょう。一方で、まもなく既存4Gの周波数を5G用に転用可能となることから、これによって5Gのエリア化も加速することが見込まれています。

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世界の5Gサービス開始状況

2018年10月に米国で5Gサービスが開始され1年半以上が経過していますが、現時点の世界の5G普及状況はどのようになっているのでしょうか。


以下は、2020年6月時点での世界各国の5Gサービス開始状況を表した地図です。

全世界では既に約40か国で5Gサービスが開始されており、75以上の通信事業者がサービスを提供しています。特に2020年に入ってから、日本をはじめ先進国で後発であった国・通信事業者が5Gサービスを開始したことによって、その数が増えています。

まだ、フランスやポルトガルなど欧州の一部の国や南米諸国では5Gが開始されていませんが、それでもかなりのエリアで5Gサービスが提供されているので、今後は各国間のローミングも提供されるでしょう。

5Gで始まった新たなサービス

5Gは、当初はスマホでの高速通信利用にとどまっていましたが、COVID-19の影響などもあり、様々なサービスが新たに生まれています。

例えば、中国ではChina MobileとZTE社が「医療向けの5G MEC(Multi-Access Edge Computing)」の提供を開始しています。MECとは、必要なアプリケーションやデータ処理をよりユーザに近い位置で行う為のコンセプトで、これによって遅延を最小限に抑えることができ、リアルタイムでの処理が可能となります。

ZTEとChina Mobileの「医療向け5G MEC」では、5G MECによるリアルタイム処理が可能となり、それによって遠隔での医療サポートはもちろんのこと遠隔手術も行うことができます。また、現地での膨大な検査データをリアルタイムで処理することで瞬時の判断も可能となります。

日本でも過疎地での医療補助を目的とした5G遠隔医療の実証実験がいくつかの地域で行われるなど、医療における5Gの利用は一つのユースケースになりそうです。

その他では、KDDIと三井不動産が、5Gをオフィスビルに活用しデジタルトランスフォーメーションを加速するという取り組みを行っています。従来のオフィスネットワークでは有線LANやWi-Fiが利用されていましたが、5Gを利用することでより大容量データが扱え、かつワークプレイスの柔軟性などを実現することが可能となります。

まだまだ多数のユースケースがありますが、いずれにしても5Gは当初の想定どおりIoTやエンタープライズで多く利用され、今後もますますこのようなユースケースが増えてくるとが想定されます。

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今後の展望

現時点では日本国内での5G普及率はまだまだ低く、利用可能なエリアも限定的です。しかしながら、今年度末に向けて通信事業者各社は約10,000局の基地局建設を目標に急ピッチでエリアを構築しており、エリア拡張は加速をしていくでしょう。特に今年の秋には5Gに対応したiPhoneが発売される見込みで、それまでに如何に5Gエリアを拡張することができるかが通信事業者の直近の大きな課題であることから、エリアは確実に広がっていきます

このように、今年の秋以降はそれなりのエリアで5Gの利用が可能となることが想定され、それに合わせたコンテンツやアプリケーションも期待ができます。また、来年には1年延期となった東京オリンピックが控えているなど、5Gを利用するシーンが増えてくることから、5Gの新しい使い方、サービスも徐々に提供されることが想定されます。