海外の5G事情 – 世界で初めて5Gを商用化した米国の事例 –

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Global 海外の5G事情 – 世界で初めて5Gを商用化した米国の事例 –

日本ではまだサービスが開始されていない5Gですが、世界では多数の国で5Gのサービスが開始されています。その中でも米国は世界に先駆けて5Gサービスを開始しており、本記事では、その米国の5Gサービスの状況や料金体系などの事例を紹介します。

米国は世界で初めて5Gサービスを開始

2018年10月1日、米国のベライゾンは5G Homeと呼ばれる5Gサービスをヒューストン、サクラメント、インディアンポリス、ロサンゼルスの4つの都市で世界で初めて開始しました。Wi-Fi Homeは5Gに対応したWi-Fiルータで、主に家庭内のブロードバンドの代用として使われるサービスであり、通信速度は約300Mbpsとされています。ベライゾンから遅れること2か月、2018年12月に米国2位の通信事業者AT&Tもモバイルルータを利用した5Gサービスを開始しました。

米国は5Gスマホの世界初を逃す

2018年に世界を先駆けて5Gを開始した米国ですが、世界の通信事業者はいかに早く5Gスマホサービスを始めるかということに注力をしていました。米国のベライゾンも2018年の世界初の5Gサービスに続いてスマホでも世界初を狙うために着々と準備を進めており、誰もがベライゾンが世界初の5G スマホサービスを開始すると疑っていませんでした。

ところが、ベライゾンがサービス開始を予定していた直前になんと韓国のオペレータが自国のサムスン端末を利用した5Gサービスを開始し、5G スマホの世界初は韓国に奪われてしま強いました。ベライゾンは世界で初めて4G LTEの全国規模の展開を行った通信事業者であり、5Gでも世界初を取りたかったのですが、残念ながら取れませんでした。

米国内の5G提供オペレータは2019年7月で8社!

米国には全国をカバーする通信事業者の他に地域限定でサービスを展開している通信事業者も多々あります。そのような状況で、米国は2019年7月現在で8社の通信事業者(ベライゾン、AT&T、Tモバイル、スプリント、USセルラー、US Spire、Charter、Starry)

が5Gサービスを開始しています。日本の5Gサービス開始時期が2020年になるといわれている中でこれだけの通信事業者がサービスを開始しているというのは本当にすごいことです。

気になる5Gの通信速度はなんと2Gbps以上!!

米国で発売されている5G対応スマホは韓国でも発売されているサムスンのGALAXY S10 5GとLGのLG V50 ThinQ 5Gの2機種に加えて、モトローラのMotorola moto z4があります。端末の価格は、モトローラ製のスマホは500ドルと価格が抑えてありますが、残りの2機種は1,000-1,300ドルと高額になっています。

通信速度に関しては速度比較をしているwebサイトや5Gスマホ所有者がSNSで公表しているものなど、いくつかの情報がありますが、総じて5Gはかなりの通信速度が出ているようです。ベライゾンのユーザはシカゴにおいて2Gbpsを超える通信速度が出ているというSNSの書き込みや、その他でも2Gbps近い通信速度を得ているという情報がいくつかあります。

また、Opensignal社の各国の5G速度比較調査によると、米国は、韓国、イタリア、スペイン、オーストラリアなどと比較しても圧倒的に速度が速く1.8Gbpsに達しているようです。ただし、速度測定サイトを利用した通信速度の測定ではなく、実際にゲームや動画などのコンテンツをダウンロードした場合にはそれほど速度が出ていないという報告もあり、ネットワークの改善はまだまだ必要なレベルのように思われます。逆にネットワークの最適化が進んでいくことにより、まだまだ速度が速くなる可能性が残されています。

現在は5Gユーザが限られておりインフラの容量にかなり余裕がある状態なのでこのようにピーク速度は2Gbpsを超えるなどとても速い結果が出ていますが、1年後にユーザがある程度増えて状態でどこまで速度を維持できているかが気になるところです。

出店:Telecom.com
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5Gで利用されている周波数は28GHz、39GHz、2.4GHz

米国の主要通信事業者であるベライゾン、AT&T、Tモバイル、スプリントの4社すべてが既に5Gサービスを開始していますが、利用している周波数はベライゾンとTモバイルは28GHz、AT&Tは39GHz、スプリントは2.4GHzを利用しています。28GHzは日本でも5Gに割り当てられている周波数であり、また世界各国でも同様に利用される見込みであることから、エコバンドと呼ばれています。一方、スプリントは韓国同様に6GHz以下の周波数いわゆるSub6と呼ばれる周波数を利用していますが、周波数が韓国や日本が利用予定の3.5GHzではなく2.4GHzを利用しています。

2019年4月時点での各社の対応状況は以下のようになっています。

2019年7月現在 米国通信事業者の5G利用周波数
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5Gではデータ通信無制限が標準!?

米国でも韓国と同様に5Gの料金プランはデータ通信無制限になっています。例えば、ベライゾンでは5G用の料金プランとして「above unlimited」と「beyond unlimited」の二つのプランが用意されていますが、いずれも5Gネットワークのデータ通信量は無制限となっています。

ベライゾンの5G利用料金
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各国とも5Gはデータ無制限通信で提供する傾向にありますが、それに合わせて既存の4G LTEでも無制限プランを導入する動きがあります。これは、5Gのエリアがまだ狭く5Gが無いエリアでは端末が自動で4Gに接続されてしまい、その際にデータ通信量が4Gと5Gで異なるとユーザが混乱することが一つの理由であると考えられます。

5Gは今後どのように普及していくのか?

米国は国土が広いため、2019年7月の段階ではまだどの通信事業者も特定の都市でしか5Gサービスを開始できていません。今後急ピッチに基地局建設が進み5Gのエリアも一気に拡大していく中で、これまでの4Gの延長的な使い方以外で画期的な5Gのユースケースが生まれるかどうかが気になるところです。日本でも話題になっていますが、5Gを特定のビル内や工場内で限定して提供する「ローカル5G」や、超低遅延という特徴を利用した遠隔操作系のユースケースなど、様々な可能性があります。

ある調査会社によると、5Gを利用することで単純に通信速度が向上するということだけではユーザがスマホを買い替える要因としては弱すぎるとされています。最近では特にスマホの進化も減速しつつある中で、今後5Gがどのように普及していくのか、米国の動向から目が離せないですね!

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