2019年、Wi-Fiの最新規格であるWi-Fi6の認証プログラムが開始され、iPhone11をはじめいくつかの製品でWi-Fi6が利用されるようになりました。2020年の今年は更に多数の製品でWi-Fi6の利用が期待されますが、Wi-Fi6を利用するためにはWi-Fi6に対応したルータが必要となります。
この記事ではWi-Fi6対応のルータを購入する際に確認すべきポイントと、2020年1月現在発売されているWi-Fi6対応ルータのおすすめ機種について解説をしています。
Wi-Fi6ルータ購入時に確認すべき7つのポイント
Wi-Fi6の大きな特徴といえば、従来のWi-Fiと比較して通信速度が格段に速いということですが、Wi-Fiルータを購入する際にはルータの仕様上の速度だけではなくいくつか確認すべきポイントがあります。
ここでは、Wi-Fiルータを購入する際に確認すべき以下の7つのポイントについて説明をします。
- 最大通信速度
- サイズ
- アンテナ数・アンテナ形状・内蔵
- 対応周波数
- 同時接続数
- MJU-MIMO
- 有線LANポート(速度)
最大通信速度
最大通信速度はWi-Fiルータの購入を検討している方の大部分が最初に確認するポイントになるかと思います。Wi-Fi6では、理論上では最大9.6Gbpsでの通信が可能となっていますが、この数値はあくまでもWi-Fiの仕様上の数値であり、最大通信速度は製品によって異なります。例えば、バッファローのWXR-5950AX12では5GHz帯の周波数を利用した際に最大で4.8Gbpsの速度となりますが、エレコムのWRC-X3000GSでは同じ5GHz帯の周波数でも2.4Gbpsとなっています。このように製品によって最大通信速度が異なりますので、ルータ購入の際には確認が必要です。
ただし、各製品の最大通信速度も理論値であり、実際の通信速度はこれよりも遅くなることは認識しておく必要があります。
サイズ
Wi-Fiルータ購入時に気を付けるべきポイントとしてルータのサイズがあります。Wi-Fiが普及し始めたころはWi-Fiルータも比較的小型のものが多く宅内で利用する際にもそれほど問題になることはありませんでした。ところが、最近は新しいWi-Fiの規格が導入されるたびにルータのサイズも大きくなり、特にMIMO(multiple-input and multiple-output)と呼ばれる複数のアンテナを利用する技術が採用され始めたことにより、それまで内蔵されていたアンテナが外部アンテナになり、サイズが飛躍的に大きくなっています。また、形状も従来は縦型の小型ボックスタイプが主流でしたが、最近は平面タイプのルータも増えてきていますので、購入の際にはそのサイズと設置スペースを考慮する必要があります。
アンテナ数・アンテナ形状・内蔵
アンテナの数はWi-Fiで通信をする際の通信速度に大きく影響します。MIMOという技術では複数のアンテナを利用してデータを各アンテナに分散して同時に送受信するので、アンテナの数が多ければそれだけ通信速度も速くなります。Wi-Fi6以前の規格では、ある一人のユーザがデータ通信を行っている間は他のユーザはその通信が終わるまで待つ必要があります。つまり1回の通信で1ユーザしかデータ通信ができないのです。Wi-Fi6では1回の通信で複数のユーザのデータが通信できるようになり、これによってユーザごとの通信速度は大きく改善されました。ただ、それでも従来と同様に1回の通信が終わるまで次の通信は開始できないようになっていますので、通信速度を早くするためには1回の通信をなるべく早く終わらせる必要があります。
アンテナが複数ある場合にはデータを分散させて送信できる為、アンテナの数が多くなればその分1回の通信時間が短くなり、結果として通信速度が速くなります。ただし、アンテナの数が多くなるとその分ルータのサイズも大きくなってしまいます。
対応周波数
Wi-Fi6の仕様では、2.4GHz帯と5GHz帯の二つの周波数が利用可能となっていますが、ルータの製品によっては一部の周波数しか対応していないものもあります。Wi-Fiは現在あらゆるところで利用されており、その結果近隣のWi-Fiの電波とWi-Fiルータの電波が干渉をしてしまい通信速度が十分得られないということがあります。このような電波干渉が発生した際にはWi-Fiルータで利用する周波数を近隣のWi-Fiが利用していないチャンネルに変更することで干渉を回避をすることが可能となりますが、ルータが対応している周波数が少ない場合には電波干渉時に回避が難しくなる可能性があります。
同時接続数
一つのWi-Fiルータに接続可能なデバイスの数はルータの製品ごとによってことなっていますので、製品購入時には確認をした方が良いでしょう。特に最近ではパソコン、スマホ、タブレット以外でもプリンタ、スキャナ、テレビ、HDDレコーダなど多数のデバイスがWi-Fiに対応しているのでWi-Fiルータを購入する際には事前にいくつのデバイスを接続する予定であるのかを確認すべきでしょう。
MU-MIMO機能
先ほど説明したとおりWi-FiではMIMOという技術が使われておりますが、MIMOを利用した場合でも1回の通信が終わるまでは次の通信を開始することができません。つまり、1回の通信を行う際に複数のアンテナ全てをその通信に利用する仕組みとなっています。ところが、MU-MIMO(Multi User-MIMO)という技術では、アンテナごとに個別の通信を行うことが可能となります。つまり、ある通信がアンテナ1で通信している間、他の通信をアンテナ2で同時に行うことができるのです。従ってMU-MIMOに対応したルータはより高速な通信が可能となります。ただし、MU-MIMOはWi-Fi6以前から採用されている技術ですが、まだMU-MIMOに対応したルータはそれほど多くありません。また、MU-MIMOを利用するためにはMU-MIMOに対応したデバイスが必要となります。
有線LAN速度
Wi-Fiルータを購入する際に忘れてはならないのは有線LANの速度確認です。従来はWi-Fiの通信速度がそれほど早くなかったため有線LANの速度を気にする必要はなかったのですが、Wi-Fi6では最速で数Gbpsの通信速度となるため、仮に有線LAN側が1Gbpsしか対応していない場合、有線LANがボトルネックとなり想定通りの通信速度がでない可能性があります。また、同様に10Gbpsのブロードバンドの契約をしているユーザが1Gbpsの有線LANしか対応していないルータを選択してしまうと、有線LANで速度が遅くなり、せっかくの10Gbps契約が無駄となってしまいます。ただし、実際のWi-Fiでは通信環境や接続デバイス数等の影響で理論値ほどの通信速度に達することはほぼない為、どの程度の通信速度を期待するかに合わせて選択すればよいでしょう。
Wi-Fi6対応ルータ5機種を比較、おすすめ機種はこれだ!
Wi-Fi6に対応した主要ルータ5機種について、先ほどの7つのポイントで比較してみました。
7つのポイントで比較した場合、これらの中ではバッファローのWXR-5950AX12がお薦めといえるでしょう。この機種は最大通信速度が4.8Gbpsと速く、有線LANも10Gbpsをサポートし、また8つのアンテナでMU-MIMOをサポートしています。通信速度については5GHzを利用した最大速度ももちろんですが、それ以外に2.4GHzを利用した場合の速度は確認すべきでしょう。5GHzを利用する場合、その電波の特性から家の構造によっては電波が届きづらくなる可能性があり、その際には代わりに2.4GHzを利用する必要がありますので2.4GHzの通信速度はある程度の速度が実現できる機種が良いでしょう。
バッファローのWXR-5950AX12と同様におすすめできるのがTP-LinkのArcher AX6000です。有線LANの通信速度こそバッファローの機種に及びませんが、それ以外ではほぼ同等の機能を実装しています。また、TP-LinkのArcher AX6000はバッファローの縦置きタイプではなく平置きタイプですので、平置きタイプを好むユーザはArcher AX6000を選択するとよいでしょう。