2021年は、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手通信事業者がデータ容量20GB/月で 約3,000円のプランを次々と提供し、対抗策として格安スマホ事業者の一部は値下げを行ったり、新しいプランを発表したりしました。2021年6月に格安スマホ事業者の料金調査をした際には、1GB/月のプランで約700円、5GB/月で1,000円弱、20GB/月で2,000円弱でした。前回調査から半年経過しましたが、各社の料金はどのように変化したのか解説をしています。
半年で低容量プランが大幅値下げ、1GB/月で290円!!
以下は、「音声通話+データ通信」プラン(音声付プラン)のデータ容量ごとの料金を比較した表です。1GBから30GBまでの料金を比較し、その中で最安値上位3社を色付けしています。

2021年6月時点では、5GB/月以下の低容量ではNuroモバイル、10-20GB/月の中容量ではIIJmioとBic SIMが最安値となっていましたが、この半年で少し状況が変わってきました。5GB/月では相変わらずNuroモバイルが最安値となっていますが、4GB/月以下では日本通信SIMが最安値となりました。特に1GB/月は290円、2GB/月は510円となり、大幅な値下げが行われています。
10-20GB/月の中容量に関しては、2021年6月と2022年2月で最安値提供事業者に変化はなく、IIJmioとBic SIMが最安値となっています。 2021年6月と2022年2月では、一部のデータ容量において料金が大幅に値下げされています。2021年6月と2022年2月の最安値プランの料金イメージ比較をグラフにしてみました。

このグラフは料金のイメージを比較したもので、実際の料金体系とは多少異なります。例えば、2022年2月のグラフではデータ利用量が1GBから2GBまで徐々に金額が上昇していますが、実際の料金プランは、データ利用量が1GBまでが290円で、データ利用量が1GBを少しでも超えると550円となりますが、グラフでは290円から550円まで徐々に上昇するような記載になっています。
2021年6月と2022年2月の最安値料金を比較してみると、3GB/月の低容量プランで値下げ幅が大きくなっています。これは格安スマホ事業者のビジネス戦略に依存しており、格安スマホ事業者は低容量プランに関して大手通信事業者と比較して割安感を出し、データをあまり利用しないユーザを多数取り込む戦略をとっているからです。1GB/月プランは、2021年6月時点では格安スマホ事業者が約700円で提供していましたが、大手通信事業者のサブブランドで家族割などの割引が適用された場合に990円となり割安感が薄れてしまう為、2022年2月時点では1GBで290円という大胆な値下げに踏み込んできたと考えられます。
今回の値下げで格安スマホ事業者と大手通信事業者では料金プランにどのような差が生まれたのでしょうか?両者の料金プランイメージの比較をグラフ化してみました。

このグラフでは、格安スマホ事業者のうち価格が安いプランの上位3つと、ドコモの「ギガホライト」「ギガホプレミア」、ドコモの20GBプラン「ahamo」、UQモバイルの「くりこしプラン+5G」をグラフ化しています。先ほどのグラフと同様に実際の料金プランとは多少異なり、あくまでイメージとなります。
全体を通して格安スマホ事業者のプランの方が安いことは一目瞭然ですが、その中でも低容量プランでは格安スマホの優位性が大きくなっており、データ容量が増えていくにつれて優位性が薄れていることが分かります。先ほど説明した格安スマホ事業者のビジネス戦略が料金に反映されているといってよいでしょう。
2022年も格安スマホ事業者から目が離せない
2021年に大手通信事業者が20GB/月の割安プランを発表し、スマホの料金が大幅にさがりましたが、格安スマホ事業者も対抗して値下げを行いました。その結果、1GB/月プランでは2022年2月現在で290円と破格の料金になっています。これまでスマホの月額料金が高いことが問題でガラケーからスマホへの移行を躊躇していたユーザは、この機会にスマホへ移行してみても良いかもしれません。料金プランだけではなく、格安スマホ事業者の通信品質は以前と比較するとかなり向上しており、特定時間帯のつながり辛さは以前よりも解消されています。
このように多くの格安スマホ事業者はユーザを確保するために値下げや品質向上を行っていますが、一方であまり対策をしていない格安スマホ事業者もあります。また、対策を行った事業者でも2021年にユーザ数を減らしている事業者が多くなっています。更に、格安スマホ事業者は、これまでは低容量プランを軸にビジネスを進めてきましたが、今後5Gが普及し動画など大容量コンテンツが増加することで低容量ではサービスを維持できなくなる可能性もあります。このように、モバイル業界では格安スマホ事業者にとって厳しい状況が続き、格安スマホ事業者の一部は淘汰され、2022年以降は事業者の統合などが行われるのではないかと想定されます。
ユーザにとっては事業者間の料金競争が激しくなることで格安スマホ事業者を利用するメリットが大きくなりますが、注意も必要です。注意事として、上記グラフでは家族割り引きやブロードバンドとのセット割り引きなどの大手通信事業者が提供している各種割引サービスを考慮していません。既に家族で同一の大手通信事業者を契約しているユーザやブロードバンドと合わせた割り引きが適用されるユーザに関しては、一度しっかりと料金比較することをお勧めします。また、事業者のプランによっては、月額料金に無料通話が含まれていたり、細かなオプション条件が異なるものもあるので、ユーザ自身のスマホの利用形態を考慮してプランを選択するとよいでしょう。