ドコモ、au、ソフトバンクは2001年から第3世代携帯電話システム(3G)サービスを提供していますが、この3Gサービスが間もなく終了します。3Gまで携帯電話の大多数を占めてきたガラケーですが、3Gサービス終了によりガラケーは使えなくなってしまうのでしょうか。
この記事では、各社の3Gサービス終了時期とサービス終了によりガラケーがどのような影響を受けるのかについて解説しています。
3Gとは?ガラケーとは?
3Gサービスは、NTTドコモが世界に先駆けて2011年5月に試験サービスを、同年10月に本格サービスを開始した第3世代の携帯電話システムです。
携帯電話サービスは、1987年に国内で初めて開始されたのですが、この時利用されていた携帯電話システムは第1世代(1G)と呼ばれるアナログシステムでした。そして、1993年にはPDCと呼ばれる日本独自の第2世代(2G)であるデジタル方式へ移行しています。
1Gおよび2Gのサービスが提供されていた頃は、携帯電話は主に音声通話を行うツールとして利用されてきました。ところが3Gでは1G、2Gとは異なり、通信速度が大幅に改善され、それまでの音声通話ツールからデータ通信ツールへと携帯電話が進化していったのです。
データ通信サービスは、2Gにおいてもドコモのi-mode、IDO/セルラーグループのEZAccess/EZWeb、J-phone(現ソフトバンク)のJスカイウェブといったインターネットサービスとして提供されていましたが、通信速度が9.6Kbpsから14.4Kbpsとかなり低速でした。しかし、3Gサービスが開始されると速度は一気に384Kbpsまで上がり、携帯電話の使い方がこれまでと大きく変わったのです。
3Gサービスでは、それまでとは異なりデータ通信の頻度があがり、それによって携帯電話の画面は大型化され、そして遂に今では当たり前となっているスマートフォン(スマホ)も登場し始めました。
スマホが登場する前までは、携帯電話は音声通話がし易い二つ折りの小型画面が主流であり、各機種には通信事業者が提供する独自サービスを実現する為に専用の機能やアプリケーションがたくさん盛り込まれていました。このように通信事業者固有の機能をもった独自の携帯電話は、のちにガラパゴスケータイ(ガラケー)と呼ばれ、今では音声通話向けの携帯電話を一般的に示すようになりました。


日本だけではなく世界各国で3Gサービスは終了へ
このように音声通話中心からデータ通信へと携帯電話の使い方を大きく変えた3Gサービスですが、各社とも3Gサービスをまもなく終了することを発表しています。これは日本だけではなく海外でも同様の動きがあり、以下のように大手通信事業者が既に3Gサービス終了について発表しています。
米国 Verizon:2022年12月
米国 AT&T:2022年3月
ドイツ Telefonica:2021年9月から順次
ドイツ KPN:2022年3月
インド Vodafone:2021年末
ドコモ、au、ソフトバンクの3G終了予定時期は以下のようになっています。
ドコモ:2026年3月末
au:2022年3月末
ソフトバンク:2024年1月下旬
では、通信事業者各社は何故3Gサービスの終了を急いでいるのでしょうか?
それには大きく二つの理由があります。
1つ目の理由は、3Gサービスで利用している周波数を有効利用したい為です。
通信事業者は、国から割り当てられた周波数を使ってサービスを提供しています。周波数には帯域幅と呼ばれる周波数の範囲があり、この帯域幅が広ければ広いほど通信速度が速くなります。
これを道路と車に例えると、帯域幅は道路の幅、データは車で表すことができます。道路の幅が何車線もある広い道路であればあるほどたくさんの車が一気に走ることができ、各車の走行速度も速くなります。データ通信もこれと同じで、帯域幅が広ければ広いほどデータを一気に運ぶことができる為、データ通信速度があがるのです。

3Gを終了し、3Gで利用していた周波数を通信各社が力を入れている5Gへ再割り当てすることで5Gの速度改善が見込める為、3Gサービスを早く終了したいのです。
2つ目の理由は、加入者の少ない3Gに対して設備維持費用や運用費用を費やしたくない為です。
3Gサービスが始まって10年以上が経過しており加入者も減っているので、現在では3Gシステムへの大きな設備投資は行ってはいないものの、これらの老朽化したシステムを維持するためには相応の費用がかかります。また、それらを保守や運用するための費用も考える必要もあるので、3Gを終了することでこれらの費用を削減し、その分5Gへ集中的に投資をすることができるのです。特に5Gは、これまでと異なり単なる通信速度の改善だけではなく、超低遅延や大量IoT接続など5Gの特徴を活かした新たなサービスを提供することが期待されている為、通信異業者は極力早く加入者を5Gへ移行させたいのです。


ガラケーはいつまで使えるのか?
では、3Gまで携帯電話の中心であったガラケーがいつまで使えるのでしょうか?
ガラケーがいつまで使えるかに関しては、ガラケーがどの世代のシステムを利用しているのかを理解する必要があります。
スマホ、ガラケーなど形状に関係なく、携帯電話には音声通話サービスとデータ通信サービスがあります。現在主流の4G(LTE)では、音声通話サービスもデータ通信サービスもともに4Gシステムを利用しています。一方、3G対応のスマホやガラケーは、音声通話サービスおよびデータ通信サービスともに3Gサービスを利用しています。従って、このような3G対応スマホやガラケーは3Gサービスが終了すると利用できなくなってしまいます。
注意しなければならないのは、これ以外の機種においても3Gサービス終了によって影響を受ける機種があるということです。先ほど説明したとおり、携帯電話には音声通話とデータ通信の二つの機能がありますが、それぞれのサービスが別々の世代のシステムを利用している機種もあるのです。
例えば、音声通話サービスは3Gを利用し、データ通信サービスは4Gを利用している機種があります。この機種は通信事業者が4Gを開始してからしばらくの間市場に多数出回っていました。これは、4G開始当時、4Gで音声通話サービスを実現することが技術的観点および品質的観点で難しく、音声通話サービスだけはそれまでの3Gを利用していた為です。
このように音声通話サービスは3G、データ通信サービスは4Gという機種も3Gサービスが終了することで音声通話が利用できなくなってしまう為、3Gサービスの終了と共に利用できなくなってしまいます。そして、気を付けなければならないのは、このような機種はガラケータイプの機種だけではなく、スマホタイプの機種も多数存在することです。
ガラケー、スマホなど機種にかかわらず、以下のような携帯電話は3Gサービスの終了と共に利用ができなくなってしまう為、サービス終了前に買い替えが必要です。
音声通話:3G、データ通信:3G
音声通信:3G、データ通信:4G

3Gサービス終了後も利用できるガラケーはあるのか?
先ほど説明したとおり、ガラケーとはガラパゴスケータイの略で、今では音声通話を中心に利用するユーザ向けの携帯電話を一般的に読んでいます。ドコモ、au、ソフトバンクは、従来のガラケーの形状をした機種を継続して販売しており、これらに関しては音声通話で4Gを利用している為、3Gサービスが終了しても継続して利用可能です。
各社とも以下のように「ケータイ」というカテゴリーでガラケータイプの機種を販売しています。

各種キャンペーンによりオトクに乗り換え
3Gサービスは間もなく終了となり、中でもauは2022年3月末に終了する予定であと半年を切りました。このような状況で、通信事業者各社は3G対応携帯電話からの乗り換えキャンペーンを提供しています。今から3Gから4Gや5Gへ乗り換えるユーザは、これらのキャンペーンを活用しておトクに乗り換えると良いでしょう。


