ドコモ、au、ソフトバンクの通信事業者3社は、現在提供している3Gサービスの終了時期を発表しています。3Gサービスの終了によって影響を受けるユーザは3G端末を利用しているユーザはもちろんですが、それ以外のユーザでも影響を受ける可能性があります。
この記事では、3Gサービスの終了時期や影響を受けるユーザ、そして3Gサービスの終了によって影響を受けるユーザは、サービス終了に伴いどのような選択をしていくべきなのかについて解説をしています。
3Gサービスは何故終了するのか?
2020年3月、日本では「5G」サービスが始まりました。
5Gとは、5th Generationの略で第5世代を意味していますが、通信においては、これまでアナログ電話の第1世代(1G)から始まり、その後デジタル化した第2世代(2G)、音声からデータへとサービスがシフトした第3世代(3G)、高速通信を実現した第4世代(4G)と、第5世代(5G)に至るまでいくつかの世代があり、それぞれで特長のあるテクノロジーが使われています。
日本では、5Gが開始されたとはいえ、まだ5Gが利用できるエリアが少なく、大多数のユーザは第4世代の4G LTEスマホやフェイチャーフォンを利用しており、一部のユーザはまだ3Gのスマホやガラケーを利用しています。
現時点では、ドコモ、au、ソフトバンクといった通信事業者は、第3世代のCDMA、第4世代のLTE、第5世代の5Gと3つの通信方式でサービスを提供していますが、複数の通信方式を採用する場合、システムの開発やメンテナンスに費用がかかるため通信事業者としては極力方式を減らし統一していきたいと考えています。
特に今年は5Gのサービスが開始されたことで、通信事業者は極力ユーザを5Gに移行させたいという思惑もあり、2世代前の第3世代方式によるサービスを早い段階で終了したいと考えています。

日本および世界の3Gサービスの終了予定時期
3Gサービスは2001年5月にドコモが世界で初めて開始したサービスです。3Gサービスが始まる前の2Gサービスまでは、ケータイといえば通話を行う為のツールという位置づけでしたが、3Gサービスの登場により通信速度が飛躍的に早くなり、ケータイがデータ通信用のツールとして変貌を遂げました。
特に日本では、ソフトバンクの前身である通信事業者J-Phoneが発売したカメラ付きのケータイで写真をケータイ同士で送る「写メール」と呼ばれるサービスが爆発的な人気を誇り、3Gへの移行が進みました。また、その後は3Gのスマホが発売され、さらにiPhoneの登場により3Gへの移行が加速したのです。
あれから19年経過し、まだ3Gを利用しているユーザは存在しますが、ドコモ、au、ソフトバンクは、それぞれ3Gサービスの終了時期をアナウンスしています。今年の4月にサービスを開始した楽天モバイルは3Gを採用せず4G LTEのみ提供しています。
各社の3Gサービスの終了時期は以下のとおりです。
ドコモ:2026年3月末
au:2022年3月末
ソフトバンク:2024年1月下旬



国内では2022年から3Gサービスの終了が計画されていますが、海外ではどのようになっているのでしょうか。
ヨーロッパの各国では、5Gでは日本に先駆けて積極的にサービスを展開している国が多数ありますが、実はこれまでは通信の世代更新に関してはそれほど積極的ではなく、3G、4Gの導入においても世界の動きからかなり遅れを取ってきました。
特に3Gや4Gの導入はかなり緩やかに行われてきたため、それ以前の方式である2G(GSM方式)のユーザがかなりの数となり、未だに2Gのサービスが利用されている国もあります。このような状況であるため、現時点で3Gサービスを積極的に終了するという動きは見られません。
一方アメリカでは、世界で初めて5Gサービスを開始したこともあり、5Gへの移行を積極的に進め、それに伴って古い3Gサービスの終了を計画しています。
ベライゾン:2020年末
AT&T:2022年末
T-mobile:未定
アメリカでは日本よりも早く3Gサービスの終了を計画しており、理由としては日本同様に3Gユーザが減ってきたということもありますが、それ以外では3Gで利用している周波数を4Gや5Gへ利用していきたいという意向もあります。通信事業者が利用できる周波数は限られており、この周波数の量(帯域幅)が通信速度等の品質に大きく影響するため、各社とも周波数を有効的に利用したいと考えているのです。
3Gサービス終了は一部4Gユーザにも影響あり!
総務省の報告によると、2020年3月現在で国内の3Gの契約者は3,227万件となっています。3Gサービスが終了することにより、3Gのスマホやガラケー・フィーチャーフォンを利用しているこの約3,000万人のユーザが利用できなくなってしまう為、4Gや5Gの端末に機種変更をする必要があります。また、3Gサービスの終了により、3Gでのみ提供されていたドコモの「i-mode」サービスなども利用できなくなります。注意が必要なのは、現在4G端末を利用しているユーザでも機種変更をしないといけないケースがあるということです。
4Gは、3Gとは異なりLTEと呼ばれる高速通信方式を採用している為、一見3Gの終了には何も影響が無いように思われますが、実は4Gの端末の一部では、データ通信は4G LTEを利用しているものの音声は3Gを利用しているものがあります。
これは、4Gサービス開始当初はサービスエリアが限定的であった為、3Gと4Gの両方に対応したスマホが発売されていた為です。データ通信は3Gと4Gの両方で利用できるため、3Gサービスが終了しても問題ないのですが、音声に関しては必ず3Gサービスを利用してしまう仕組みになっている為、3Gサービスの終了共に仕組み上、音声サービスの利用ができなくなってしまいます。
現在の4G端末では、4G LTEを利用した音声サービス「VoLTE」が利用されていますが、このVoLTEに対応していない端末は3Gサービスの終了前に機種変更が必要です。ドコモ、au、ソフトバンクのVoLTE対応機種は以下のWebページから確認できます。

3Gユーザにはメリットのある選択肢が多数ある
3Gサービスの終了はauが一番早く、約1年半後となります。比較的まだ時間はありますが、3Gユーザはサービス終了前にどうすべきかを考えておく必要があります。
既存の通信事業者の4Gや5G端末へ機種変更をするという選択肢が恐らく多くのユーザが考えていることではないかと思われますが、それ以外の選択肢があることも把握し、一番メリットのある選択肢を選んだ方がよいでしょう。
通信事業者各社は、極力3Gのユーザに4Gや5Gへ移行してもらいたい為、3Gユーザ向けの割引キャンペーンなどを打ち出していますので、これらを活用して安く機種変更を行う方法があります。
例えば、auではauの3G端末から4Gや5Gのスマホへ機種変更をする場合に大幅な端末料金の割引を行う「3Gとりかえ割(スマホ)/3Gとりかえ割プラス」というキャンペーンを2019年から行っています。

また、ソフトバンクにおいては、ソフトバンクの3Gユーザのみならずドコモやauの3Gユーザがソフトバンクに移行した場合ユーザも割引の対象とする「3G買い替えキャンペーン」を提供しています。

その他の選択肢としては、格安スマホへの移行が挙げられるでしょう。3Gが開始された際には今ほど格安スマホを提供するMVNOと呼ばれる通信事業者はほぼなかった為、格安スマホは選択肢にはなりませんでしたが、現在は国内のMVNO事業者は1,000を超えるほど多数あり選択肢が広がっています。3Gを利用しているユーザはデータ通信量が少ないケースが多いため、格安SIMへ移行することで今利用しているケータイ電話番号を継続しながら、毎月の基本料金を抑えることが可能です。

auは2022年から、その2年後にソフトバンク、更に2年後にドコモが3Gサービスを終了します。まだまだ時間があると感じてしまいますが、スマホは今やライフラインの一つで欠かせないものなので、早い段階からよくじっくりと考えて移行先を決めていくとよいでしょう。

