格安スマホ事業者への移行に伴いスマホ購入を検討している方、海外渡航時に海外SIMの購入を検討している方は必見です。この記事では、スマホや海外SIMカードを購入する際に重要となる周波数バンドについて解説をしています。
周波数バンドとは
スマホの通信には電波が使われており、各通信事業者はそれぞれ異なる周波数の電波を使っています。周波数とは、身近なところではラジオで使われていますが、例えばTBSラジオであれば954KHz、文化放送であれば1134KHzが使われています。
スマホでも同様に各通信事業者が利用する電波は決められているのですが、スマホ(モバイルデバイス)で利用される周波数は世界で統一されています。ケータイ電話がまだアナログやデジタルの初期の時代においては、各国で自由に周波数を割り当てて利用していましたが、国際ローミングの出現により周波数の利用形態を統一することになりました。日本でも以前は800MHz帯で日本独自の使い方をしていたものを2012年までに世界標準に合わせる形に変更をしています。(800MHz周波数再編)
周波数は3GPPにて以下のように周波数帯ごとにバンドと呼ばれるくくりで定義されています。各国でこれらすべてのバンドをサポートする必要はなく、各国の周波数利用状況に合わせて利用するバンドを決定します。そして、その国で利用する端末は、その国の通信事業者がサポートしているバンドに対応している必要があります。
SIMフリースマホ購入時は対応周波数バンドを確認
最近、ドコモ、au、ソフトバンクから格安SIM事業者であるMVNOへ移行するユーザが増えてきています。格安SIMへ移行する際にはスマホを購入しなければならないケースもありますが、ほとんどの格安SIM事業者のホームページには、その格安SIM事業者に対応しているスマホが掲載されているので、ホームページに掲載されているスマホを購入すれば問題ありません。
もしホームページに記載のないスマホを利用する場合には、そのスマホが利用する事業者の周波数に対応しているかどうかを確認する必要があります。
先ほど説明したとおり、周波数はバンドというくくりで決められているので、格安SIM事業者が利用しているバンドに対応したスマホを購入しなければなりません。例えばUQモバイルはauの回線を利用しているMVNOであり、対応しているバンドは、バンド1,11,18,26,28,42なので、スマホもこのいずれかのバンドをサポートしている必要があります。この時、単純にどれか一つのバンドに対応していればいいかというとそうではありません。各通信事業者はバンドごとに基地局を設置しているのですが、この基地局の数は周波数バンドごとに異なるからです。
以下は、ドコモ、au、ソフトバンクの周波数ごとの基地局数を示していますが、例えば、先ほど例にあげたUQモバイルはau回線を利用しているので、auで一番基地局の多い800MHz(バンド18/26)に対応したスマホが一番適しているといえます。
海外SIM購入時はその通信事業者の対応バンドを確認
SIMフリースマホ等、自分でスマホを購入する際には国内のみならず海外の事業者がどのようなバンドをサポートしているかも考えておく必要があります。格安SIM事業者も含めて現在はほぼすべての事業者で国際ローミングがサポートされていますが、国際ローミングをするためには渡航先の通信事業者が利用しているバンドをスマホがサポートしている必要があります。
特に最近では海外で利用できるSIMを事前に購入し、渡航先においてSIMフリースマホでそのSIMを利用するケースが増えていますが、この時、そのSIMがどの事業者のSIMであり、その事業者がどのバンドをサポートしているか、そしてそのバンドにスマホ自体が対応しているのかを確認しならないことに注意が必要です。
以下は国内外の主要通信事業者がLTEでサポートしているバンド一覧です。
見てのとおり、アメリカ以外は日本で利用している周波数が使えるので、国際ローミングであればこれらの国々で利用中のスマホをそのまま利用できるでしょう(事業者のローミング契約に依存)。
海外で利用するSIMを購入する場合は、そのSIMを提供している事業者が対応しているバンドを事前に確認し、スマホがそのバンドをサポートしているようであれば問題ないでしょう。この表のとおり、海外では日本で利用していないバンドを数多く利用している為、海外利用SIMカードを購入する場合には必ずバンドを確認する必要があります。
iPhone 11Proの対応周波数
格安SIM事業者や海外SIMを利用する場合、スマホ自体の対応バンドを確認する必要がありますが、日本でも人気のiPhoneではどのようなバンドがサポートされているのでしょうか。
以下はiPhone11 Proの周波数対応表です。iPhoneにはいくつかのモデルがあり、それぞれの国で採用しているモデルが異なります。iPhone11 Proにおいては、モデルA2215を利用している国が最も多くなっています。
各モデルで多少の差はありますが、見てのとおりほとんどのバンドがサポートされていますので、iPhoneを利用する限りでは、スマホ側の周波数は気にする必要はないでしょう。
まとめ
スマホ通信においては、スマホ端末と通信事業者の基地局が同じ周波数バンドをサポートしている必要があります。最近はネット上でかなり安いSIMフリー端末が出回っており、また海外渡航用に格安SIMカードも人気が出てきています。SIMフリー端末を購入する際には利用する通信事業者がサポートする周波数バンドを、海外SIMを購入する際にはSIM提供事業者の対応周波数バンドとスマホの対応周波数バンドが一致していることを事前に確認するとよいでしょう。